2019/10/19
★栃木レザーのご紹介★ ~工場見学ルポ~
平成22年5月某日、念願の栃木レザー工場見学に行って参りました!
東京から高速に乗り1時間半、栃木レザー(株)本社・工場は栃木県栃木市の周りを山々に囲まれた緑多い長閑な地域にありました。
工場見学参加者人数は10名弱、みなさん革製品販売や革工房の方々のようです。
工場内に行く前に最初にDVDにて会社の沿革・皮から革へ変わるまでの工程を予習しました。
パンフレットやHPで工程の多さや拘りは見ていたものの、実際に映像として見ると実感が違います。
「早く実物を見てみたい!」と、ワクワクでした。
▼さあ、いざ工場内へ!!!
▼職人さんが行きかう中、案内役の方にまず見せて頂いたのが北米から輸入したばかりの「原皮」
きれいに折り畳まれています。中を開けるとこんな感じ↓ まさに「皮」ですね。。
▼まずはこの原皮を水洗い→背割り→石灰漬け・脱毛→フレッシング→脱灰・酵解 と工程を進めていきます。
▼栃木レザーの一番のこだわりとも言える「タンニンなめし」
タンニン漕なめしとは、皮を植物タンニン溶解液の入った漕につけ込み、なめしあげる行程です。
160ものピット漕で薄いタンニン漕から濃いタンニン漕へと順次漬けこまれていきます。
栃木レザーのタンニン漕は、ブラジル産のミモザという質の高いタンニン樹液が用いられています。
栃木レザーの皮の品質はまさにここにあります。
~ひらすらに、頑なに、本物だけを求めて~
タンニンを多く含むアカシア系の樹木ミモザのワットルバーグ(樹皮)が革なめしに使われた最古の記録は18世紀。現在ワットルバーグの採取を目的としたアカシア樹は、ブラジル・アルゼンチン等々の国々を主産地として、計画的に植林・栽培されています。この抽出エキスでなめされたヌメ革は、他にない優れた風合いと耐久性・吸・放湿性を誇り、数多くの生活用品に加工・生産されて愛され続けています。皮革は大自然が生んだ理想的なマテリアル。永遠に人の歴史とともにある最も美しく機能的な織物といえるでしょう。 ~パンフレットより引用~
▼タンニン樹液に漬け込まれた革は再度洗浄されていきます。水絞り→加脂→セッター→乾燥と次々に工程が進められ第一段階が終了します。
▼およそ10日間自然乾燥され、製品の一部はこの後「ヌメ革」として計量し出荷されます。
▼第2段階です。上記まで乾燥させてたヌメ革は、厚度を整える工程を経て、再なめし・染色→セッター(のばし)→ハンドセッターへと進んでいきます。
ハンドセッターは厚手の革や伸びにくい革を手で丹念に伸ばしていきます。これにより革の表情はより滑らかになり味わいも出てきます。職人さんのさじ加減ひとつと言うところでしょうか、まさに年季と技術が物を言う工程だと思います。
▼次に味取り・乾燥→バイブレーション(より革に柔軟性を与えます)→塗装→アイロン・仕上げ→計量→梱包・出荷
以上、いかがですか?ざっと20工程を経て「皮は革へ」と変わっていきます。こんなにも多くの工程を手間暇かけて職人さんたちが
作り出していく「栃木レザー」 きっと革の見方が変わる事と思います。
「皮を革へと昇華させる」この拘りこそが栃木レザーが匠と言われる由縁なのだと思います。
▼出来上がった革は革工房の職人さんの手によってこのような革製品へと姿を変えていきます。
1本のベルトが、どのような素材・工程・制作に関わる人々の思いの上で作られているのかが伝わると、物に対する愛着・思い入れも違ってきます。そして、その沢山の思い入れを込めた1本のベルトを皆様にお届けできる喜びを感じました。 by 中島