革を育てる・革を愉しむメンテナンス
革製品の醍醐味はズバリ「経年変化」にあると思います。
使えば使うほどに味わい深くなる、この良さを知ってしまうとソフトレザー(塩化ビニール製品)には戻れないとよく聞きます。
さて、その経年変化はどのようにしたら起こるのでしょうか?
経年変化とは文字通り、経年(時間が経つこと)による自然な革の変化の事。この経年変化はただ普通にお使い頂くだけでも起こりますが、メンテナンスを行う事によりその美しさは格段に上がります!
例えば、一番革の経年変化を実感出来る素材として「ヌメ革の生成仕上げ」が上げられます。「ヌメ革」とは革制作の工程で使うタンニン液が植物性だと言う事。植物性タンニンを「フルベジタブルタンニン」と言い、これで出来た革をヌメ革と呼びます。
余談ですが巷ではこのヌメ革をサドルレザー・ハーネスレザー等の名称で呼ぶ場合がありますが、全ては「ヌメ革」です。サドルやハーネスは部位や使用する物にも対応できる程の厚さや堅甲さの事をさし、それが呼称化となっているとの説があります。
話はそれましたがここからが本題です。
美しい経年変化を起こすには、その革に合ったメンテナンス用品を使用する事です。特にヌメ革は革本来の色のままに仕上げられた無着色の革。故に革が経年で色柄けをする過程を一から愉しめる素材です。
しかし、楽しい半面手間も掛ります。メンテナンス次第でその革の変化や表情は大きく異なります。同じ革でも使い方、メンテナンスで仕上がりが違うならば自分好みに仕上げる事も可能!
これが「革を育てる」という事になります。
ヌメ革にお使いいただきたいのはヌメ革専用のメンテナンス材です。革にはそれぞれの仕上げ方法がありますが、当店の革は先にご紹介した通りの仕上がりなのでフルベジタブルタンニン鞣し専用の植物性オイル(ワックス)をお勧めしています。各メーカーがそれぞれ出していますのでお好みのメーカーでお選びください。
▲当店はコロンブス社に調合をお願いした栃木レザーヌメ革ようの専用ワックスです。
お店での販売でよくある質問で、手持ちのミンクオイルでも良いのか?と聞かれます。全くの不可ではありませんがデリケートなヌメ革生成では成分が強すぎてべたつきの元となります。ミンクなどの動物性オイルは革靴やブーツなど外部での接触が多い素材に適しています。
この他では、蜜蝋やラナパー、保湿・栄養クリーム等もありますがいずれにせよ本番でいきなり塗るのではなく目立たない所でのお試しをお勧めします。
そして一番のメンテナンスはたくさん使う事。使うほどに深みを増す革に愛情を込めて使いこんでください。可愛がった革は貴方に素敵な表情を見せてくれることでしょう。